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『ティファニーで朝食を』駆け出しの作家と行く、はじめての図書館

ニューヨークの大都会が眠る早朝、「ムーンリバー」が流れ、1台のタクシーが五番街のティファニーニューヨーク本店の正面でとまる。

 

ホリー(オードリー・ヘプバーン)はタクシーを降りると、時計を担ぐ巨神アトラスを見上げ、ショーウインドーの前まで近づく。

 

ジュエリーや装飾品を眺めながらデニッシュを頬張りコーヒーを飲む。

 

 

少し切なくなる『ティファニーで朝食を』の有名なファーストシーンである。

 

 

ホリーは、ティファニーから歩いてアパートに帰る。

 

「赤い気分になったとき(ホリー独特の表現)には、ティファニーに行けば一瞬で治る。

ティファニーの近くに住むことができれば。」

と、宝石店のティファニーに強い憧れを抱くコールガールである。

 

五番街と57丁目の角に建つティファニー本店からわずか0.4マイル、5番街が42丁目とクロスする交差点にニューヨーク公共図書館があるが、このときのホリーはまだ知らない。

 

ある日、彼女の住むアパートの上階に駆け出しの作家・ポール(ジョージ・ペパード)が引っ越して来る。

 

ポールは自由奔放なホリーに興味を抱き次第に惹かれていくが、ホリーは兄フレッドを除隊させて彼の生活を養うことを希望しており、結婚相手には経済力しか求めていない。

彼女の頭の中には「アメリカのお金持ちリスト」がデータベース化されているほど。

 

ある日、お酒に酔ったホリーは、そのデータベースを総動し、次のターゲットを誰にするかをポールにペラペラ喋り出す。

ひどくあきれるポールだが、彼自身も金持ちの女に養ってもらっている。

そのことを指摘されたポールはホリーに悪態をつき、ふたりは気まずい状況となる。

 

後日、仲直りを申し出るポールに、これから、ニューヨークでやったことがないことを2人でしようと提案したホリー。

 

そこでホリーは、ポールがまだ行ったことがない自分のお気に入りの場所ティファニーニューヨーク本店に彼を連れて行き、ポールは、ホリーがまだ行ったことがない場所ニューヨーク公共図書館に彼女を連れて行く。

 

ふたりが最初にやってきたのが、現在のニューヨーク公共図書館のどの部分に当たるのか不明だが、60年代の図書館の内装が見られる貴重なシーンである。

 

ニューアーク式の目録カードの引き出しを前に「本がない」というホリーに、ポールはメイン閲覧室(現在のニューヨーク公共図書館3階にある美術と建築の書物を集めた閲覧室だと思われる)を見せる。

ポールはホリーに、目録棚の前で、「署名別と著者名別の目録カードがあって、引き出しから目的の本のカードを探すのだ。」と教える。そして、「B」の引き出しを引き、「ポール・バンジャーク(自分の名前)」のカードを引く。

 

ポールの著書は閉架書庫にあるのだろう。本の出納をするシーンも見られる。

 

ポールの本が公共図書館に置かれていることに気を良くしたホリーは、興奮してずっと大きな声で話し、度々司書に注意される。

さらには、ポールに、自分が書いた本にサインを書かせようとする。「公共の財産にやめてください」と注意する司書に向かって、「ティファニーの素晴らしさの半分にも及ばない」と言い放ち、図書館を後にする。

 

しかしその後、ブラジルの大富豪ホセと婚約したホリーは、一人で図書館にやってきて南米について調べる。

 

5番街のティファニーに夢中で、その近くにある立派な図書館に気づくこともなかったホリーが、作家のポールと出会ったことで図書館を知り、やがて調べ物のために自分ひとりでも訪れるようになる。

 

ニューヨークシティを凝縮したような作品に「永遠の妖精」と呼ばれ、時代を超えて愛されるオードリー・ヘプバーンの魅力を全編に散りばめた名作、半世紀前の作品とは思えない鮮度を保ち、今でもティファニーの前で多くの人がヘプバーンを真似て撮影をしている。

 

ニューヨーク公共図書館の内装は今では随分変わってしまったが、だからこそ、60年代の姿が見られる貴重な映像とも言える。

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