世界には、言葉を失うほど美しい図書館や驚くほどユニークな図書館が数多くあり 、さらにその中は興味深い読み物であふれています。
図書館は、単に愛読家のための神聖な場所ではなく、建築好きや歴史好きな人にとっても、おもしろくて刺激的な場所ですよね。
世界の美しい図書館を10選、20選だけ選ぶことは困難なことです。
修道院が多いヨーロッパには、修道院附属の美しい図書館がたくさんあり、アジアにはユニークな図書館が次々と誕生しています。
イギリスは、美しい図書館や歴史的価値のある図書館、専門性の高い図書館などが数多くある国のひとつですが、今日は、イングランドに絞って10の美しい図書館を紹介します。
イングランドの美しい図書館
ロンドンの図書館
ペッカム公立図書館(Peckham Library)
屋根に大きな「LIBRARY」の文字のオブジェを施したペッカム公共図書館は、南ロンドンのペッカムにある近代建築が特徴的な図書館です。
画像を見てのとおり、上部の重い構造は、7本の背の高い柱のみに支えられており、この建築案は随分と物議を醸したそうです。
しかし、多くの図書館が持つ、暗く息苦しい環境から解放されるようなガラスと金属のデザインは、革新的な建築に送られる「スターリング賞」を受賞し、毎年50万人の人々がその門戸を通り抜けています。
モーガン図書館(Maughan Library)
もともとは公共記録局であるキングス・カレッジ・ロンドンの図書館であるモーガン図書館は、何度通っても飽くことない驚きに満ちています。
ステンドグラスの窓、孔子の像、そして、映画『ハリー・ポッター』のダンブルドアのオフィスのモデになったといわれる丸い読書室。
それらの内観とネオゴシック様式の外観など、建築的にまとまりがないことが逆に、魅惑的な印象を残しています。
オックスフォードの図書館
オックスフォードの図書館といえば、映画『ハリー・ポッター』の舞台でおなじみのボドリアン図書館が有名ですが、世界有数の大学都市として知られるオックスフォードには独自の図書館が多数あり、図書館だけに絞っても見どころが満載です。
オックスフォード大学ボドリアン図書館(The Bodleian Library)
オックスフォード大学のボドリアン図書館は、英国の6つの法定納本図書館のひとつで、英国とアイルランドで出版されたすべての出版物を収めることが定められています。
15世紀の神学校の建物のアーチから、〈ラドクリフ・カメラ〉の丸いパラディオ様式の建物、第二次世界大戦中に慎重に作られた〈ニューボドリアン〉までそれぞれに魅力があります。
オックスフォード大学コドリントン図書館(The Codrington Library)
1851年に完成したコドリントン図書館は、真っ白な大理石の像が黒い本棚の列に映える、完璧なモノクロのビジョンです。
残念ながらコドリントン図書館は一般に公開されておらず、オックスフォード大学のメンバーおよび研究者でさえ、申請による予約制で公開されています。
ケンブリッジの図書館
イギリスのイングランド東部にあるケンブリッジシャーの州都ケンブリッジ(Cambridge)は、オックスフォード同様、大学の所在地であることから大学都市として知られています。
ケンブリッジ大学 セント・ジョンズ・カレッジ図書館(Saint John’s College old library)
セントジョンズカレッジは1511年、セントジョン病院の敷地に建てられ、カレッジの名前の由来もここから来ています。
セント・ジョンズ・カレッジ図書館のオールドライブラリーは、1516年のファーストコートに大門南側の1階を占めるかたちで開館しました。
建物はジャコビアンゴシック様式で、背の高い2つのライトの窓はゴシックリバイバルのごく初期の例ですが、ファサードはルネサンス風のデザインです。
現在は実用的な図書館としては使用されていませんが、平日の午後5時まで、大学所属の有無に問わず利用できます。
バーミンガムの図書館
ロンドンとリヴァプールを結ぶ線の中間点あたりに位置するバーミンガムは、人口は100万人ほどの工業都市で、図書館以外にもいくつかのおすすめ建築スポットがあります。
バーミンガム公共図書館(Library of Birmingham)
残念ながら、イギリスの美しい図書館の多くが会員制であったり入館料が必要となっていますが、バーミンガム公共図書館はすべてに開かれた公共図書館であり、現代建築ファンにとって必見の場所です。
外観はジグラットの一種で、3つのセクションを結合する複雑な幾何学格子模様で、夜になるとライトが点灯します。
内部を特徴づけるのは、中央部を貫く筒状の大きな吹き抜けです。
リバプールの図書館
リバプール中央図書館(Liverpool Central Library)
リバプール中央図書館の内装は、もともと利用者に非常に愛されていましたが、保護の欠陥と築年数による劣化で崩壊しはじめ、2013年に5,000万ポンドをかけて改装が行われました。
既存のエリアを補完し、それとは対照的に白を基調としたドーム型の天窓と、それに続く螺旋状の近代建築を新設し、図書館自体が古典と現代のミックスでデザインされています。
過去と現在が図書館という建物の中で交錯する非常に魅力的な図書館です。
マンチェスターの図書館
マンチェスター大学ジョン・ライランズ図書館(John Rylands Library)
マンチェスター大学のジョン・ライランズ図書館は、外観だけ見ると教会や大聖堂と間違えられることもあるゴシック様式の大学図書館です。
高いアーチ型の天井に美しいステンドグラス、左右対称となった建築はお見事です。
また、「グーテンベルク聖書」やウィリアム・キャクストンの「カンタベリー物語」などの初期の印刷物といった貴重なコレクションを含む数十万冊の本を所蔵しています。
チェサム図書館(Chetham’s Library)
音楽学校に併設された古い建築のこの図書館には幽霊が出ると噂されていますが、1歩足を踏み入れるとその噂を簡単に信じることができるでしょう。
英国で、最も古い公共図書館として文学史に名を馳せており、文学、音楽、建築の愛好家にとって一度は訪れておきたい名所のひとつです。
17世紀の書架に12万以上の書籍を保管しています。
チェサム図書館はまた、ドイツの思想家フリードリッヒ・エンゲルスと哲学者のカール・マルクスが出会い、ともに共産党宣言を書きはじめた場としても知られています。
この記事へのコメントはありません。